2026年11月1日から、日本の免税は「買ったとき」ではなく「空港で」確定する制度になります。
レジではいったん税込で支払い、出国時に税関の確認を受けてから、消費税分が返金されます。
つまり空港での手続きを忘れると、免税は1円も適用されません。
しかも「荷物を預ける前に済ませる」という、知らないと確実に詰むルール付きです。
この記事は一時帰国の免税ガイド(第一弾)の続きです。買い方と必要書類は第一弾に。ここでは出国当日の動きだけを扱います。
出国当日にやること
- 荷物を預ける前に、出発ロビーの免税手続用端末へ
- 端末にパスポートを提示
- 検査が必要と判定されたら税関検査場で商品を見せる
- そのあとチェックイン・荷物預け入れ
端末の操作は数秒。時間がかかるのは、検査になったときと混雑のときだけです。
1. なぜ空港で手続きが必要になったのか
ひとことで言うと、免税制度が不正に使われていたからです。
これまでは、レジで税抜価格になった時点で免税が成立していました。商品が本当に国外へ出たかを確認する前に、免税が確定していたわけです。
財務省の資料は、これを「国内での横流し」と表現しています。税抜きで買った商品が国外に持ち出されず、国内で売られていた事例が多発した、と。
さらに踏み込んだ記述もあります。出国時に税関で捕まえても、多額の免税購入をしていた人のほとんどは商品を持っておらず、課税しても大半が滞納になった——つまり取り返せなかったということです。
そこで順番を逆にしたのがリファンド方式です。先に払ってもらい、持ち出しを確認できた人にだけ返金する。確認できなければ返金しないだけなので、取りっぱぐれが起きません。
ちなみに、購入時に課税して出国時に還付する方式は、EUなどでは以前から一般的です。他の国がどうしているかは8章にまとめました。
新制度のポイント
- 免税店は税込価格で販売する
- 出国時の税関確認で、はじめて免税が成立する
- 確認は購入日から90日以内
- 対象は同じ店・同じ日で税抜5,000円以上(現行から変更なし)
- 一般物品と消耗品の区分、消耗品の50万円上限、特殊包装はすべて廃止
- 数量は自分で持ち出せる範囲まで
2. 【最重要】荷物を預ける前に手続きを
荷物を預けたあとでは、手続きできません。
端末は預け入れ前の国際線出発ロビーにあります。スーツケースに入れて預けてしまうと、税関に商品を見せられず、返金は受けられません。
観光庁も「一度預けた受託手荷物を引き戻すことはできません」と明記しています。「呼ばれたから取りに行く」ができないということです。
免税品を預ける予定の方も、まず端末で手続き。この順番だけは崩さないでください。
その結果、手荷物が増えます
免税品を手元に持つということは、そのぶん手荷物が増えるということです。
化粧品やサプリ、食品をまとめ買いすると、想像以上にかさばります。スーツケースに詰められないので、機内持ち込みで抱えることになります。
折りたためるサブバッグを1枚入れておくと、当日あわてずに済みます。使わなければ畳んだままなので、荷物にもなりません。
3. 空港での手続き:4ステップ
ステップ1|端末にパスポートを提示
出発ロビーのキオスク端末(または電子端末)に、パスポートを読み取らせます。読み取りから結果判定まで数秒程度です。
ステップ2|税関検査が必要かどうかが表示される
| 判定 | やること |
|---|---|
| 検査が不要 | そのまま手続き完了 |
| レッド判定(検査が必要) | 税関検査場で商品を提示 |
どちらになるかは選べません。レッド判定になる前提で時間を確保しておくのが安全です。
ステップ3|レッド判定なら商品を見せる
買ったものを実際に提示します。1点でも出せないと、そのレシート全部が対象外です。
なお、税抜の単価が100万円以上の商品を買った場合は、鑑定書や保証書の提示を求められることがあります。合計額ではなく、1点あたりの単価で見る基準です。
ステップ4|搭乗前に完了させる
保安検査を通ったあとや、搭乗ゲートで気づいても手遅れです。
早く着いた時間をどう使うか
税関確認を見込んで早めに空港へ行くと、そのぶん待ち時間が増えます。
手続きさえ終わってしまえば、あとは搭乗までやることがありません。
成田や羽田の国際線には、当日その場で使える有料ラウンジがあります。クレジットカードに付帯している場合や、プライオリティ・パスで入れる場合もあります。
ただし利用条件はラウンジごとに違い、出国審査の前にあるものと後にあるものがあります。使う予定なら、出発前にご自身の空港・ターミナルで確認しておくと確実です。
Visit Japan Web でも手続きできます
対象は成田・羽田・関西・中部・福岡・新千歳・那覇の7空港です。
ただし国際線出発ロビーの手続専用無線LANに接続できるエリア内(保安検査場前まで)でのみ使えます。自宅で事前に済ませることはできません。
端末が混んでいたらスマホから、という使い方になります。
4. 返金の受け取り方
返金するのは免税店(または免税店から委託を受けた返金事業者)です。税関や税務署ではありません。
観光庁が挙げている方法は次のとおりです。ただしこれは「考えられる方法」の例示で、どれが使えるかは免税店ごとに違います。
| 受け取り方法 | 海外在住者には |
|---|---|
| クレジットカードへ送金 | ◎ 日本の口座が不要 |
| 空港で現金 | ◎ その場で完結 |
| アプリ送金 | ◯ アプリ次第 |
| 銀行振込 | △ 日本の口座が必要 |
日本の口座を解約した方は、「振込のみ」の店だと受け取れません。買う前に確認するしかありません。
返金方法は、購入時に免税店から案内があります。
レジで聞いておきたい3つ
① カードへの返金はできますか
② 返金はいつごろですか
③ 手数料はかかりますか
返金は税関確認のあとです。時期は店によって違うので、購入時に確認してください。
その日に現金が戻るとは限りません。買い物当日は、税込の満額を払える状態にしておいてください。カードの限度額は事前に確認を。
5. 免税が取り消される7つのケース
- 荷物を預けたあとに手続きしようとした
- 1レシートの中に、提示できない商品が1点でもある
- 消耗品を日本国内で使ってしまった
- 購入から90日を超えて出国した
- 買ったものを家族に渡した/別便で送った
- 自分で持ち出せない数量を買った
- 不正に持ち出した(消費税の徴収+罰則)
消耗品を開けて使ってしまったら
その商品は端末を使わず、税関の窓口で消費した旨を申し出てください。黙って端末で処理すると不正扱いになるおそれがあります。
なお国税庁は、税関の確認を受けた免税品は「遅滞なく輸出しなければならない」としています。輸出しなかった場合は消費税を徴収され、罰則の対象にもなります。
6. ケース別の注意点
乗り継ぎで出国する場合
手続きは日本を出る最終空港で。福岡→羽田→海外なら、羽田で行います。
クルーズで出国する場合
- 国外発着クルーズ:国内の最終港で、手荷物を預ける前に
- フライ&クルーズ:国内空港からの出国時にまとめて。航海中の手続きは不要
海外へ送りたい場合
郵送による別送は2025年4月1日の購入分から廃止されました。海外発送に対応するかは店ごとに違うので、購入前に相談を。
7. 必要書類のルールも緩くなります
① マイナンバーカードが使えます
「2年以上海外に住んでいること」の証明として、戸籍の附票の写し・在留証明に加えてマイナンバーカードが使えます。
スマホ版も対象です。条件は、国外に転出した旨の記載があること。
ただし、パスポートの帰国証印は引き続き必要です。
マイナンバーカードが代わりになるのは「2年以上海外に住んでいる」証明だけ。「帰国から6か月未満」はパスポートの帰国証印で確認します。
観光庁のフロー図にも「自動化ゲートを通過し、帰国証印の押印がない場合は免税販売できません」と明記されています。
顔認証ゲートを通ってしまったら、税関検査を通る前に審査場事務室の職員へ申し出て、証印をもらってください。
② 本籍の記載が不要になります
これまでは在留証明・戸籍の附票の写しのどちらも、本籍地の地番まで記載されている必要がありました。役所で「省略しないでください」と伝える必要があったところです。
11月1日からは本籍の記載が不要になります。取得も提示も、少し楽になります。
8. 海外では当たり前? 主要国のリファンド事情
購入時に税を払って出国時に返金してもらう方式は、世界では珍しくありません。日本が特殊だったほうです。
| 国・地域 | 最低購入額 | 戻り方 |
|---|---|---|
| 韓国 | 1レシート15,000ウォン〜 | 店頭で即時還付/空港はキオスク+還付窓口 |
| 台湾 | 同一店・同日 NT$2,000〜 | 店頭で少額還付/空港はe-VATキオスク |
| シンガポール | S$100〜(税込) | 空港のeTRSキオスク |
| オーストラリア | 同一事業者 A$300〜(税込) | 空港のTRSカウンター(カード・豪州の口座へ) |
| フランス | 同一チェーンで100ユーロ超 | PABLO端末で認証、後日返金 |
| イギリス | — | 本土は2020年末に廃止。北アイルランドのみ継続 |
韓国・台湾は「その場で戻る」
韓国は1レシート100万ウォン未満なら、レジでその場で還付されます(1回の旅行で合計500万ウォンまで)。2024年に上限が倍に引き上げられました。
台湾も、同じ日・同じ店での累計がNT$48,000以下なら店頭で還付されます。ただし滞在中の通算NT$120,000、年間NT$240,000という上限もあります。
空港での手続きが要らないぶん、体感はいちばん楽です。
空港のキオスクを使う場合は、パスポートを読ませて検査対象と表示されたときだけ税関へ回ります。仁川空港は「十分な余裕を持って」としか案内していないので、時間は多めに見ておいてください。
オーストラリアは「締切」がシビア
TRSカウンターは原則、出国審査と保安検査の後にあります。日本と逆ですね(大型品や機内に持ち込めないものは、出国審査前のカウンターで手続きします)。
締切は法令で決まっています。飛行機は出発30分前、船は60分前を過ぎると受け付けてもらえません。
アプリやウェブで申請内容を先に入力してQRコードを作れます。当局は「処理が速くなる可能性がある」としており、空港によっては専用の列を使えます。
還付先はクレジットカードか豪州の銀行口座。現金はありません。支払いは請求から60日以内と定められています。
フランスは「全額は戻らない」
フランスのVATは20%。非EU居住者は、同じチェーンでの購入が100ユーロ超なら対象です(最大3日間分まで合算できます)。
出国時、荷物を預ける前にPABLO端末にバーコードをかざします。緑の画面が出れば、電子的な税関スタンプの完了です。
ただしフランス政府自身が「店が手数料を差し引くので、VATが全額還付されるわけではない」と説明しています。手数料は還付代行業者や受け取り方法によって変わるため、実際の手取りは事前には読めません。
イギリスは「やめた国」
イングランド・スコットランド・ウェールズでは、持ち帰り型の還付が2020年12月31日で廃止されました。2025年12月の議会答弁でも「新しい制度を導入する予定はない」とされています。
ただし北アイルランドでは今も続いています。日本在住者も対象で、購入した月の翌々月末までに持ち出す必要があります。
本土でも、店から海外の住所へ直送してもらえばVATはかかりません。
日本の新制度はどこに似ている?
日本の新方式は、支払いはEU型、確認はアジア型という組み合わせです。
- レジで税込を払う → EU型
- 空港のキオスクで電子的に確認 → シンガポール・台湾型
ただし、韓国や台湾のような店頭での即時還付は、日本にはありません。11月1日以降、日本ではレジで安くなる場面がなくなります。
どの国でも共通する3つのコツ
- 手続きは荷物を預ける前に(日本・シンガポール・フランスは預け入れ前が原則)
- 空港には早めに(締切が法令で決まっている国もあります)
- カードへの返金を選ぶ(現地の口座がなくても受け取れます)
まとめ|出国当日の順番
- いつもより早めに空港へ
- 免税品は手元に持ったまま出発ロビーへ
- 端末でパスポートを提示
- レッド判定なら税関検査場へ
- そのあとチェックイン・荷物預け入れ
- 保安検査・搭乗
迷ったら「免税品は預ける前」とだけ覚えておいてください。
実際に使ってきたら、空港ごとの動線と返金までの日数を追記します。買い方や必要書類は第一弾へ。
買い物そのものの条件(2年以上の海外居住、帰国から6か月未満)と必要書類は、第一弾にまとめています。

出国後に使うeSIMも忘れずに
免税の手続きが終われば、次は戻る先での通信です。
出発前にアプリでeSIMを入れておけば、着陸した瞬間からつながります。空港で回線を探す必要がありません。
Airaloの場合、新規登録時に紹介コード EXDIWP0693 を入れると初回購入が$3オフになります。データ専用なので、電話番号が必要な方は別途ご用意ください。
Airaloで現地のeSIMを見る(紹介コード:EXDIWP0693)
参考にした公式情報
日本の制度
- 観光庁|旅行者向け よくある質問(リファンド方式)
- 観光庁|旅行者向け特設ページ
- 国税庁|リファンド方式への見直し
- 財務省|令和7年度税制改正の解説(消費税法等の改正)
- デジタル庁|Visit Japan Web
各国の制度
- 韓国関税庁|Tax Refund
- 台湾財政部|外国人旅行者向け税還付
- シンガポール税関|Tourist Refund Scheme
- オーストラリア国税庁|Tourist Refund Scheme
- フランス税関|免税購入の手続き
- GOV.UK|Retail Export Scheme(北アイルランド)
※2026年9月時点の情報です。日本の空港での運用や返金の詳細は今後具体化される見込みのため、出国前に公式情報もご確認ください。海外各国の制度も変更される場合があります。

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